トレーニング

ステロイドユーザーのトレーニングをナチュラルがやってはいけない理由

近年、ボディビルなど筋肉の美しさを競い合う競技性のある大会に出場するために様々な筋トレ方法が増えてきています。

そんな筋肉に関する情報の中には、「ステロイドユーザー」や「ナチュラル」という用語や話題を見かけたり耳にする機会も増えてきました。

本記事では、そんなステロイドユーザーやナチュラルに関する情報や、ステロイドユーザーが行っているトレーニングをナチュラルがやってはいけない理由などをご紹介していきます。

上地 裕作

  • 神楽坂 江戸川橋パーソナルジムGAIN 代表
  • JBBF 2018関東メンズフィジーク選手権 準優勝
  • ベストボディ・ジャパン2017東京オープン大会 ミドルクラス グランプリ受賞
  • 得意分野 ボディメイク、ダイエット

フィットネス

ステロイドユーザーとは

ステロイドユーザーとは、タンパク同化やアナポリックといった薬物(ステロイド)を使用している者(ユーザー)、または使用していた過去を持つ者(ユーザー)のことを言います。

ステロイドを使用することで筋肉を増加させることができ、近年ではステロイドを使用して大会で優勝したり、ビジネスをする人なども増えている傾向にあります。

ボディビルやフィジークでも、ユーザーが集まると言われる大会の出場選手は、もはや人間の体ではありません。

また、ステロイドによる筋力増加は、通常のトレーニングに比べ1.5倍から2倍近くの効果を得られるとされていますが、その分だけ副作用なども伴います。

ちなみに、ボディメイク等の大会ではステロイドを使用した行為は禁止とされていますが、使用をしたからといって現行の法律上では違法行為にはなりませんし、個人で使用する分には容認されている方法です。

また、ステロイドを使用することで以下の様な副作用が起きてしまいます。

l 脱毛症

l 肝機能障害

l 内臓肥大

l 腹筋剥離(バブルガット)

l 精子質の低下

l 女性化乳房(乳腺が肥大することで女性の様な乳房になってしまう)

l 攻撃性の増大(ステロイド激高、ロイドレージ)

この様に、あらゆる危険や障害を副作用として起こす可能性があるので、万一使用する場合は寿命を縮める覚悟でどうぞ。(私は絶対やりませんが)

なお、オリンピアといった世界大会に出場する選手は、若くして亡くなっているケースも少なくありません。

最近でも、日本人でユーザーと言われていた方が亡くなりましたね。

ナチュラルとは

ナチュラルとは、非ステロイドユーザーのこと指す呼称となります。

ただし、これについては一度もステロイドを使用したことがない人のことではなく、あくまでも本来は過去に使用したことがあるけど現在は使用していない人のことをナチュラルと言います。ただ、現在も過去も一度も使用したことがない人のことをナチュラルと一般的には言われがちです。

ちなみに、正確には一度もステロイド等の薬物を使用したことがない人のことを「ドラッグフリー」と言います。

言葉の意味通り、健康的に作られた体、薬物に頼らない自然な筋肉の人がナチュラルだと認識して良いかと思います。

ナチュラルがステロイドユーザーのトレーニングをやってはいけない理由

ここからは、ナチュラルの人がステロイドユーザーと同じ筋肉トレーニングをしてはいけない理由を紹介・解説していこうと思います。

ステロイドユーザーとナチュラルの違い

ステロイドユーザーとナチュラルでは以下の様な違いがあるとされます。

l トレーニング頻度

l 1回のトレーニング量

l タンパク質量

l カロリーの量

l 有酸素運動の必要性

筋肉が作られる仕組み

まずは、根本となる筋肉の作られ方を知る必要があると思います。

筋肉はどのように作られるのか?それはタンパク質の合成により作られていきます。筋タンパク質が速く長く、そして多く合成されればその分だけ筋肉がつきます。

普段筋肉は、タンパク質の合成と分解を繰り返すことで一定の状態を保つようになっており、筋トレなどを行っていない状態でも急激に筋肉がなくなったりすることはないとされています。逆に、筋トレを行うことで筋タンパク質の合成が速くなり、そして長く多く筋トレをすればその分だけ筋肉がつきやすくなるというわけです。

ステロイドユーザーは、こうした筋肉を作る仕組みや働きを、薬物を使用することで常にタンパク質の合成レベルが高い状態を保ち、普通に筋トレをしている人の数倍早く筋肉をつけられる体にしているのです。

ステロイドユーザーのトレーニングの特徴

ステロイドユーザーが行う筋肉増加トレーニングとして、「ハイレップでドロップセットを多用し、パンプに重きを置いたトレーニング」を行うという特徴があります。ナチュラルの人とは違い、筋タンパク質の合成がトレーニングに依存しないことが主な理由です。

ハイレップトレーニングによって、筋肉に大量の血液を送り込むことで血液に含まれるアミノ酸を筋肉に運べさえすれば、筋タンパク質の合成が行われるようになり、筋肉を確実に、かつ早く成長させることができます。

この様な理由から、ステロイドユーザーはナチュラルのように、高強度のトレーニングを短時間で行わなければならないという理由がないので、重いものを使ってのハイレップトレーニングよりも、軽めの重量のハイレップトレーニングを行うとういう傾向があります。

ただ、ナチュラルだからといって重いハイレップトレーニングをしなければならない、軽めのハイレップトレーニングは意味がない、という訳ではありません。

個人差はもちろんありますが、軽い重量でのハイレップトレーニングでも筋肉を肥大・増加させることはできます。

コルチゾールによる筋タンパク質の合成を妨害

コルチゾールとは、副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種で、炭水化物や脂肪、タンパク代謝を制御するホルモンのことです。

このコルチゾールですが、生体にとっては必須のホルモンではありますが、実は筋タンパク質の合成を妨害し分解を促進させるホルモンとなっています。

コルチゾールの働きが大きくなればなるほど筋肉がつきにくくなってしまいます。トレーニング量が増えれば増えるほどコルチゾールも増えていくとされ、ナチュラルの人が過剰なトレーニングをしてしまうと逆に筋肉を落としてしまう原因にもなります。

そしてステロイドユーザーは、ステロイドの使用により、このコルチゾールの影響を相殺・抑止することができるとされています。そのため、ステロイドユーザーはより高強度なトレーニングを行ってもまったく問題がないのです。

もしもナチュラルの人がステロイドユーザーと全く同じトレーニングを行った場合、そのトレーニング内容がとても高強度だとしたら、ナチュラルの人はコルチゾールが増えてしまい筋肉をつけるどころか逆に落としてしまうことになり兼ねません。

この様な理由から、ナチュラルがステロイドユーザーと同じトレーニングをしてはいけない、という大きな理由の1つになります。

筋グリコーゲンを節約

グリコーゲンとは、血糖値が下がった時にブドウ糖を放出して、活動に必要なエネルギーを供給してくれる働きをしてくれます。このグリコーゲンは筋肉と肝臓に蓄えられ、筋運動のエネルギー源として使われます。

そして、この筋グリコーゲンが使われれば使われるほどコルチゾールが多く分泌されてしまうことに繋がります。

先述でも説明しましたが、コルチゾールの分泌が多くなってしまうと筋肉の低下に繋がってしまいます。なので、過度のトレーニングは筋グリコーゲンを消費しコルチゾールを分泌してしまうので、ナチュラルの人がステロイドユーザーと同じ様な高強度なトレーニング、更には長い時間のトレーニングを行うことはだめと言えます。

この様な理由から、ナチュラルの人は仮に高強度なトレーニングを行う場合は短時間で行うようにして少しでも筋グリコーゲンの消費を節約しましょう。

まとめ

ナチュラルがステロイドユーザーと同じトレーニングをしてはいけない理由の主な理由は、筋肉を作る仕組みが違うという点です。

ステロイドユーザーは薬物の力を借りてあらゆる形で無理矢理筋肉を作っている状態であり、本来のトレーニングではつけることのできない筋肉をつけたり、より高強度なトレーニングに耐えられる体を得ています。

もしもナチュラルの人がステロイドユーザーと同じ量のトレーニングやトレーニング方法を行っても効果がなかったり、逆に筋肉を落としてしまう恐れがあるので注意して下さい。

基本的にはナチュラルとステロイドユーザーとでは体の作りや筋肉が作られる仕組みなど、筋肉に関わる様々なものが違うということを覚えておきましょう。

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